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2018シーズンから着用義務になったエアバッグ

MotoGPにおいては、2018年シーズンからライダーが着用するレーススーツにエアバックシステムの装備が義務付けられています。
これはMotoGPだけでなく全クラスに採用されているもので、今やライダーにとってエアバッグは必須装備になっているとも言えます。
なお、着用義務に関してはレギュラーライダーは全セッションにおいて着用が義務付けられている一方で、代役で参戦するライダーに関しては最初の2戦のみは着用が免除されますが、3戦目以降では義務となります。

2027年シーズンからMotoGPの排気量が850ccに下げられるのではないかとの噂も飛び交っているように、バイクの高速化とライダーの安全性の確保のバランスが現在のモータースポーツにおける重要なテーマとなっています。
バイクの場合はとくに四輪車と比較してライダーの危険が大きいため、高速化に対する対策がとくに重要です。
四輪車の場合はマシンを開発しているメーカーが高速化と安全性能の両方を意識して開発を進めていく必要があるのですが、バイクの場合はマシン以外の装備で安全性を確保する必要も出てくる、これがエアバッグの着用が義務づけられた大きな理由なのでしょう。

バイクのライダーが装着するエアバッグの機能について

エアバッグというと、自動車のものを想像する方も多いのではないでしょうか。
バイク用のエアバッグは、バイクにではなくライダーが装着する形で使用されます。
バイクの性能のアップと足並みを揃えるようにこのバイク用エアバッグの性能も急速に向上しており、現在では驚くほど高性能なものもあります。

バイク用のエアバッグにおいては、最低でも肩と鎖骨の部分を保護したうえで、可能なかぎり背面も保護する機能が求められています。
しかし、この機能を発揮するためには適切なタイミングでエアバッグが開かなければなりません。
ライダーが地面に叩きつけられる前にしっかりと開くかどうかという点ですが、現在最新技術を投入されたエアバッグでは、1000分の23秒でエアバッグが完全に開くという非常に精度の高い性能を備えています。

このエアバッグの性能に関しては、時速290kmで走行していたライダーが転倒した際に威力を発揮します。
ライダーはわずかな打ち傷をつけただけの軽症で済んだ、という実績もあります。
ちなみにこの1000分の23秒がどれだけの時間かというと、人間の瞬きの時間が1000分の30秒ですので、文字通り瞬きをする間もなくエアバッグが反応して開き、ライダーの体を保護することになります。

こうしたエアバッグそのものの技術の向上も、MotoGPでの着用義務を後押ししたのでしょう。
この機能が発揮される機会が少ないに越したことはないわけですが、万一の時にもライダーの安全を守るための装備として、今後もエアバッグの重要性が高まっていくことでしょう。