3冠を獲得したドゥカティの強さ
2022年のMotoGPでは、ドゥカティの強さばかりが目立ちました。
エースのフランセスコ・バニャイアが見事チャンピオンに輝き、シーズン全20戦のうちじつに12戦で勝利。
バニャイアのチャンピオン、さらにコンストラクターズタイトル・チームタイトルも獲得することで3冠を達成、まさに「獲得できる名誉をすべてドゥカティが独占した」ような状況になりました。
しかも2022年シーズンのドゥカティでは、じつに3人のウィナーを輩出しました。
バニャイアの7勝を筆頭に、バスティアニーニが4勝、さらにミラーも1勝したのです。
これはドゥカティの躍進がチャンピオンのバニャイアの優れたテクニック・才能だけに頼ったものではなく、優れたマシン、チームといった総合力によってなしとげられたものであることを示しています。
この点は表彰台の獲得率も53パーセントと非常に高い数字を記録していることでも明らかです。
言い方はあまり良くないかも知れませんが、2022年のドゥカティは誰が走っても優勝争いができるといっても良い状況だったわけです。
バニャイアが安定した強さを発揮したのもさることながら、シーズン4勝を記録したバスティアニーニの成長・躍進も2022年シーズンのドゥアティの大きな特徴でしょう。
ライダー・マシン・チームすべてが成長しながら成績を残していったシーズンとも言えるのかも知れません。
このバスティアニーニが良い意味でバニャイアを刺激することで、切磋琢磨する環境を作り上げたのも見逃せません。
ドゥカティのマシンの特徴
では、これほどまでに圧倒的な強さを誇ったドゥカティのマシンにはどんな特徴があるのでしょうか?
いくら優れたライダーを擁していても、過酷なレースのなかでライダーのテクニックに応えられるだけのマシンの魅力がなければ結果は残せません。
20戦のうち12戦で勝利したという数字は、いかにドゥカティのバイクが性能と安定性の両面において優れていたことを示しています。
ドゥカティのマシンの特徴としてよく挙げられるのが、手組みで作られている点です。
機械で行うことが一般的になっているこの作業において、あくまで職人の手作業と技術が取り入れられていることで、他のマシンと比較して優れた性能を引き出すことに成功していると考えられているのです。
バイクのエンジンに関しては、手組みで組み立てることで機械で行うよりも馬力がアップするとの意見もあります。
ミリ以下の単位での細かな誤差を、職人の勘や経験に基づいて細かな修正を行いながら組み立てていくことで最終的に大きな差が出てくるというのです。
つねに最先端の技術を投入しつつもアナログな感性も重視し、最終的な完成度に徹底的にこだわる、これがMoToGPの世界で圧倒的な成績を残している秘密なのかもしれません。